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2006.01.14

画本:宮澤賢治「シグナルとシグナレス」

今年から「京都市立図書館」でもインターネットによる本の予約が始まり、いちいち図書館へ足を運ばなくても好きな本を取り置き出来るようになりました。それでさっそく何冊か借り出して見ました。その中から鉄分の多い(^^)感想文を書いてみます。

一冊目は宮澤賢治作の童話「シグナルとシグナレス」です。「銀河鉄道の夜」のモデルになったともいわれる、「岩手軽便鐵道」(現JR釜石線)の分岐駅、花巻駅をモデルにしたと思われる駅を舞台にした童話です。本線に立つ腕木信号機(シグナル)と軽便線の信号機(シグナレス)の淡い恋物語です。擬人化された信号や電柱、倉庫などが登場します。

写真のように素敵な絵本ですが、私が感心したのは、そこに描かれた当時の鉄道の情景です。通信手段は電話ではなく電信が主流だったこと、本線の信号は電灯ですが、軽便線ではまだランプの明かりで現示していたことなどが読み取れます。もちろん童話ですから、当時の花巻駅がそのような設備だったかはわかりませんが、大正から昭和初期の風景が反映されているのでしょう。
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もうひとつ気に入ったのは、本の見返しに大正14年の東北本線と連絡支線の時刻表のコピーが添えられているのです。それによれば、軽便線は峠が越えられずに、仙人峠止まりになっており、釜石方面は徒歩連絡になっていること。本線の急行には一・二等寝台車が連結され一等は上段5円、下段は7円、二等でも上段三円、下段四円五十銭もしたこと(今なら一泊数万円の高級ホテル並み?)、馬面電車で有名だった「花巻電鉄」が当時は「盛岡電気工業」線と専用鉄道のような会社名だったことなどがわかります。

大人向けの小説から当時の世相を読み取るのはよくあることですが、童話から「鉄」な話題が拾えるとは宮澤賢治恐るべし(笑)ですね。

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コメント

私は、本に線を引いたり「?」をつけたりと書き込みをする方です(もちろん古本屋は買ってくれない!)。
面白かった作品は目次にマルをつけたりも。
『日本SF古典集成』(横田順彌編 早川書房1977年)を本棚から引っ張り出して、目次を今確認しましたところ、ああやっぱり。「シグナルとシグナレス」は、夢野久作の「卵」と並んで二重マルをつけていました。
今夜、三十数年ぶりに読み返してみましょう。

>> 笠井君へ

5年も前の感想文にコメントありがとう。

宮沢賢治の童話が「SF」なんですか。
当時としては、機械が話しをするなんて、まさに空想科学!! と受け取られたんでしょうかねぇ?

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