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2008.01.06

【本】五番町夕霧楼

Gobancho 暮れに西陣を散歩してきたことを書きましたが、この町を舞台にした水上勉氏の小説「五番町夕霧楼」を読んでみました。

小説の時代設定は昭和26年、この年に起こった「金閣寺放火」という大事件をヤマ場に話は進みます。

小説には少し名を変え、あるいは実名で、京都の地名やお店の名前が出てきます。お店屋さんの中には、あの店かなぁ?この店かなぁ?と、こどものころ見た商店街の町並みがよみがえってきます。
作中の京言葉やくるわ言葉も最近はほとんど聞かれなくなって、テレビドラマの俳優さんの口から少しイントネーションが違って聞こえるくらいです。

この小説の初版は昭和38年ですので、わたしが物心ついて西陣の街中を散歩しだした頃です。まだ五番町には遊郭時代の雰囲気が残り、西陣の大通りも裏通りもひとであふれていました。
すでに北野線のちんちん電車はなくなっていましたが千本通りも今出川通りにも市電が頻繁に走っていました。
糸偏景気といわれた名残もまだあって、織屋さんの店先からはカシャッ、カシャッという織機の音が響いていましたし、糸屋さんでは、色糸を巻き取る糸車がくるくると回っていました。

最近の不景気と着物ばなれで西陣もすっかりダメになり、織機の音もほとんど聞こえなくなり、町屋は取り壊されてマンションや駐車場になっています。暮れの大売出しの時期なのに、商店街にはあまり活気がありません。はやっているのはコンビニとパチンコ屋だけ、五番町もここが廓だったといわれてもぜんぜんわかりません。

栄枯盛衰は世の流れとはいえ、ちょっと寂しい気分になります。

Gobancho02 小説が書かれた頃の西陣京極の様子。千本商店街の広告看板より
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