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2009.02.21

【本】新幹線をつくった男 島秀雄物語 (高橋団吉著)

島秀雄氏の評伝を読みました。

Hima_hideo_2十河総裁と「新幹線の生みの親」と賞賛される島技師長は、若き日は、D51から始まって、C62、モハ80系を設計し、桜木町事故の責任をとって国鉄を辞するも、新幹線計画の責任者として復帰、ほぼ完成の目処をつけるも資金問題で再び国鉄を去り、最後は初代宇宙開発事業団理事長としてつねにチーフエンジニアとして活躍する。

この略伝くらいは鉄道に興味のあるひとなら概略しっているでしょうが、その評伝を読んだのは初めてです。

昨年の暮れ、0系新幹線が引退したとき、「新幹線はシステムとしてはすばらしいが、趣味の対象ではない。」と、このブログに書きました
そのコメントとして、ギヤジローさんから、その趣旨は理解できるが、

『趣味としての新幹線は確かにもうひとつ面白くないことは同意しますが,0系は立派に使命を果たして産業遺産としてこの世から去って行ったと思っています.
個人的には,何か先人から物言わぬ重いバトンを受け継いだようで・・・なんとも言えない気分です.』

とのコメントをいただきました。わたしはコンピュータで飯を食ってはいますが、あくまで事務職なので、帳簿と算盤をファイル(数値)とプログラム(計算式)に置き換えるのが仕事で、実は技術のことはあまり知りません。それで適切なコメントをお返しすることも無く終わっていたのですが、この本を読んで、島と十河両氏をリーダーに多くのエンジニアや事務方の協力で作り上げられた東海道新幹線の創世紀を中心とした島氏の一生を知り、やっと若き技術者であるギヤジローさんの指摘が理解できました。

この中で繰り返し述べられている島氏の言葉が「システム工学」です。
『ビッグ・プロジェクトに取組む場合、あらゆる条件を考慮して、もっとも合理的な体系を作ることが重要である。膨大な情報、技術を有効に組み上げて活用し、目的を達すること。つまりシステム工学的な発想が必要なのである。』 (本書P202-303より)

そして、
『新幹線には、未経験の新技術は原則として使っていない。むしろ既存の、経験済みの技術の集大成である。』 (P204より)
とも語られています。

ともすれば、新発見、新技術、新発明は一瞬の天才のひらめきから生み出されるように思い勝ちですが、日ごろの努力の積み重ねからアイデアは生まれ、またそれを具体化するために多くのひとの努力と協力が必要なことを、また、いまの最新技術といわれるものも、既存の技術や知識がなければ生まれないものだということも、この本は教えてくれます。

この本の著者である高橋氏はあとがきで、
『もし、この本を島さん自身がお読みになったとしたら、果たしてどう思われるのだろうか? 実はこの点が、気がかりでなりませんでした。残念ながら私は、理科系出身でもなく、ましてやエンジニアリングの心得もありません。性格的にも、どうやら”直角・平行・垂直主義”の対極をいくずぼら物です。」
「少し話が違うようですねえ・・・・・・」
どうも、お墓の中であなたが苦笑されているような気がしてなりません。』

この感想は、著者の謙遜は入っているでしょうが、まったく同感です。「新幹線は無味乾燥な超高速エレベーターだ。」といった前言は取り下げます。
新幹線は、決して速いだけが取り柄の機械ではなく、その運行システム全体を理解してはじめて評価できるものだといえます。
食わず嫌いで0系をよく観察しなかったのは、返すがえすも残念なことをしました。せめてもう半年前に読んでいたら、あの0系フィーバーを別な目で見て、その最後を見届けることができたのにと、いつもなから、後悔あとに立たずです。

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コメント

機関車から転向できるように機器配列がされていたとか、別に目新しいものではなく、既存技術の積み重ねなんですよ。
ただ、新幹線を1ランク上の別枠にしてしまって、路線網というネットワークを破壊しかねない怪物になってしまったことから、やはり「敵」としか思えず、国内線と新幹線、どちらを全廃するかといえば、ちゅうちょ無く新幹線と答えます。
機械系学科を出ていても、技術屋にならなかったら、いや、それ以前に鉄である以上、こういう結論になります。

しまった、アドレスが裏ブログのほうになっていますが、まあ、いいでしょう。こっちのほうが本音出してますから。

「全国新幹線網」を考えたときは、まさか平行在来線を廃止するとは思っても見なかったんでしょうね。貨物輸送と長距離夜行列車の衰退で、平行在来線の収支が取れなくなって已む無くではあるのでしょうが・・・・・

何が「網」じゃ、放射状に過ぎないじゃないかと怒っています。
在来線と新幹線って路面電車と地下鉄の関係かもしれません。ネットワークを破壊されていった路面電車の運命がわかっているだけに。
かつて欧州では路下電車という路面電車が地下にもぐる路線が多々ありました。
これにたとえれば、標準軌にしてしまうしか仕方が無いでしょうね(要は秋田新幹線ですが)。

そういいつつも、0系というのはユニットの組み換えやらで非常に面白い存在なんですけれどね。今500系がこれを食らってますね。
手持ちのプラレールでも0系が何故か最大派閥だったりしています。

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