【本】陰陽道の講義 (林淳・小池淳一編著)
最近は、オカルトブームで陰陽師がテレビに雑誌に映画にとよく取り上げられます。が、安倍清明にしても、「キツネから生まれた。」とか「芦屋道満との呪術合戦」とか伝説にいろどられた一面は良く知られますが、実態はどうだったのでしょう? 知ってるようで知らない陰陽師の活躍を知るため、大学の教科書を図書館から借り出してきました。 ![]() まずは、思想編で「陰陽道」のは何か? という基本を勉強します。中国の風水思想や道教が伝えられて、日本の陰陽道がはじまります。安部清明の実像も解説されています。この本によれば清明の陰陽師としての活躍は、どうも中年から老年に掛けてらしく、よく映画やマンガでみる若々しい青年祈祷師の印象とはかけ離れていたようです。 次の歴史編では、平安から江戸時代までの陰陽道の発展を概観します。陰陽道というと、一般には平安貴族の思想で、武士の時代に入るとともにすたれたと思われがちですが、意外と武家には武家の陰陽思想があり、その流れは現代までつながっている事を知ることが出来ます。 メディア編では、「暦」「おみくじ」「有卦」(幸運の時期と不運の時期が12年毎に繰り返すという迷信。今でも「有卦に入る」という言い方をすることがありますよね。)そして現代の小説やまんがで取り上げられる陰陽道の世界の講義があります。 この講義を読むと、今の何気無い生活習慣が実は、陰陽道の思想に基づいていることを知ることができます。 最後は、実践編です。ここでは、平安から現在に至る陰陽師がどのような活動を行って時の権力や民衆に訴えたかを知ることができます。 読み終わった感想は、「陰陽道はけっしてまがまがしいものではなく、現在のように科学の発展していない時代の先端科学であり、思想であり、実践でもあった。そして陰陽道とは決して過去の遺物ではなく、それを意識するしないは別として、現在の日本人の精神活動に深く息づいているものだと言うことが分かった。」といったところでしょうか。 ふとカレンダーを見て、「今日は大安だ。」と喜んだり。おみくじを引いて「凶」がでて「あぁーあ」とため息をついたりするのも実は裏で陰陽道がかかわっているんですね。 入門書ですので、基礎知識なしでも読めるように考慮されています。興味のある方は、学生時代に戻ったつもりで一度読んで見られてはいかがでしょうか。 詳しくは出版社のHPへ |
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