【本】近世京都画壇のネットワーク 五十嵐公一著
昨年の秋に発刊された「近世京都画壇のネットワーク」を読んで見ました。![]() 副題に「注文主と絵師」とあるように、絵画自体の解説ではなく、それを描いた絵師とその発注者のつながりがテーマになっています。 具体的には、醍醐三宝院門跡と琳派・狩野派・長谷川等伯などとの関係、おなじく三宝院門跡と京狩野家や尾形光琳・乾山兄弟との関係、摂関家の二条家と琳派、狩野派、土佐派などの絵師との関係が残された日記や備忘録を読み解きながら解説されていきます。 当然のことながら、ひとりの注文主=パトロンに可愛がられると、仕事の付き合い、個人的な付き合い、親類縁者と次々にネットワークが広がっていきます。パトロンは新しい注文者を紹介し、師匠は弟子を見合わせます。 狩野派や土佐派などは、宮中の絵所預かりになったり、幕府の御用絵師になったりして、生活は安泰のように見られがちですが、実際には宣伝活動をしたり、贈り物をしたり、注文者の趣向を調べたりと、パトロンや上司に気に入られるように努力してたんですね(^^ゞ そうだと分かると、煌びやかや王朝絵巻も豪華な襖絵も、なにやら身近になってきます。 専門書のため、原文の引用は、読み下し文ではなく、ふり仮名どころか返り点も送り仮名も無い白文なので難しい漢字や候文独特の言い回しがちょっと解りにくいです。それでも日本語ですので(笑)意味は大体つかめます。 江戸時代初期の文化史に興味のある方は、一読されることをお勧めします。 詳しくは、出版社のサイトへ 吉川弘文館 |
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