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2011.12.13

【本】仏教漢語50話 興膳宏 著 岩波新書

この本は、新聞の書評欄に最近の新刊(2011/08初版)として取り上げられていたので、取り寄せてみました。

読んだのは10月の終わり頃なんですけど、なかなか紹介する時間がなくて、今頃に

Bukkyou_kango50_2 作者の興膳 宏先生は、京大文学部中国文学科の教授で、文学部長や京都国立博物館の館長もされた中国古典文学の第一人者です。

普段に何の気なしに使っている漢字が、実は仏教経典に由来する単語で、しかも仏教(サンスクリット語)や中国語での意味合いを外れて使われたりしている状況を50語の例をあげて解説されています。

本書は、大きく三部に分かれていて、第一部は音訳語、たとえば「阿吽」「阿弥陀」「韋駄天」など、第二部は、意訳語で「因縁」「火車」「我慢」など、第三部は、訳語で括りきれない語彙として「愛」「行脚」「鬼」などが取り上げられています。

もともと印度で興った宗教である仏教は、1世紀後半に中国に伝えられ、5世紀ごろには、上流階級に受容されるようになったとされています。

中国人にとって、インドの言葉は外国語ですから、何んらかの形で翻訳しなければ理解できません。そのため音訳したり、意訳したり、新語を作ったりしながら仏典を中国語に変換していきました。

その過程を追って、意味や語源を説明していただけるのが本書なのですが、たんなる辞書的な説明にとどまらず、非常に豊富な文例やエピソードをあげて紹介されています。

わたしのような無学(笑)人間には、マネできませんが、一語一語、よくこれだけサンスリット語の原典を集め、中国や日本での古今の例題を提示し、その用例の変遷を示せるものだと感心します。

最近は、コンピュータによる文献のデータベース化は進んだでしょうが、いくらデータがあっても、それを検索し解析しなければ、実際に論文に使用することはできません。作者の博覧強記(失礼)ぶりには目を見張るものがあります。

さて、読んでいくとわかりますが、一部・二部はいかにも抹香臭い(笑)漢字が多いのですが、第三部は、「えぇ~、これが仏教の言葉から来たん?」と、頭をひねってしまう漢字もあります。「玄関」「言語道断」「道楽」「蒲団」なんかは、元々日本語にあった言葉を、文語調に書いたようにも思いますが、これも仏教に由来する言葉だったんですね。勉強になります。

知っとくと、薀蓄自慢のネタ(失礼)になって、忘年会の酒席の余興にもなるかもしれません(笑)。 
一度手にとって見られることをお勧めします。
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お帰りは、このバナーから「本館」へどうぞ。

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